大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 平成9年(行ケ)316号 判決 1999年3月24日

東京都千代田区丸の内2丁目2番3号

原告

三菱電機株式会社

代表者代表取締役

北岡隆

訴訟代理人弁理士

深見久郎

森田俊雄

吉田博由

堀井豊

東京都千代田区霞が関3丁目4番3号

被告

特許庁長官 伊佐山建志

指定代理人

丸山光信

森田信一

井上雅夫

小林和男

主文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第1  当事者の求めた判決

1  原告

特許庁が、平成7年審判第9309号事件について、平成9年9月25日にした審決を取り消す。

訴訟費用は被告の負担とする。

2  被告

主文と同旨

第2  当事者間に争いのない事実

1  特許庁における手続の経緯

原告は、昭和61年6月20日、名称を「ダイナミック型RAM」(その後、「ダイナミック型ランダムアクセスメモリ」と補正)とする発明(以下「本願特許発明」という。)につき、特許出願(特願昭61-145800号)をしたが、平成7年4月4日に拒絶査定を受けたので、同年5月8日、これに対する不服の審判の請求をした。

特許庁は、同請求を、平成7年審判第9309号事件として審理したうえ、平成9年9月25日、「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決をし、その謄本は、同年11月4日、原告に送達された。

2  本願特許発明の特許請求の範囲の請求項(1)に記載された発明(以下「本願発明」という。)の要旨

通常アクセスモードとリフレッシュモードを有するダイナミック型ランダムアクセスメモリであって、

それぞれが、行列状に配列された複数のメモリセルと、各行に対応して設けられたワード線と、各列に対応して設けられたビット線対と、各ビット線対に対応して設けられたセンスアンプとを含む第1および第2のメモリアレイブロック、

前記第1および第2のメモリアレイブロックに共通に設けられ、前記第1および第2のメモリアレイブロックと外部との間でデータの入出力を行なうためのデータ入出力線対、

各列に対応して設けられ、前記第1のメモリアレイブロックの対応の列のビット線対の一端と前記第2のメモリアレイブロックの対応の列のビット線対の一端との間に接続された第1のトランスファゲート、

各列に対応して設けられ、前記第2のメモリアレイブロックの対応の列のビット線対の他端と前記データ入出力線対との間に接続された第2のトランスファゲート、

アドレス信号に従って前記第1および第2のメモリアレイブロックのうちのいずれかのメモリセルを選択する選択手段、

外部制御信号に従って、前記通常アクセスモードまたは前記リフレッシュモードを設定するモード設定手段、

前記モード設定手段によって前記通常アクセスモードが設定された場合に、前記選択手段によって前記第1のメモリアレイブロックのメモリセルが選択されたことに応じて前記第1および第2のメモリアレイブロックのセンスアンプを活性化させるとともに各列の第1のトランスファゲートおよび前記選択されたメモリセルが属する列の第2のトランスファゲートのみを導通させ、前記選択手段によって前記第2のメモリアレイブロックのメモリセルが選択されたことに応じて、前記第2のメモリアレイブロックのセンスアンプを活性化させるとともに前記第1のメモリアレイプロックのセンスアンプを非活性化させ、前記選択されたメモリセルが属する列の第2のトランスファゲートのみを導通させて、前記選択されたメモリセルのデータを前記データ入出力線対に与える読出制御手段、および

前記モード設定手段によって前記リフレッシュモードが設定された場合に、前記第1および第2のトランスファゲートを非導通状態に固定し、前記選択手段によつて前記第1のメモリアレイブロックのメモリセルが選択されたことに応じて前記第1のメモリアレイブロックのセンスアンプを活性化させるとともに前記第2のメモリアレイブロックのセンスアンプを非活性化させ、前記選択手段によって前記第2のメモリアレイブロックのメモリセルが選択されたことに応じて前記第2のメモリアレイブロックのセンスアンプを活性化させるとともに前記第1のメモリセルアレイブロックのセンスアンプを非活性化させて、前記選択されたメモリセルのデータのリフレッシュを行なうリフレッシュ制御手段を備える、ダイナミック型ランダムアクセスメモリ。

3  審決の理由

審決は、別紙審決書写し記載のとおり、本願発明が、特開昭59-101093号公報(以下「引用例1」という。)及び特開昭57-98188号公報(以下「引用例2」という。)に記載された発明(以下「引用例発明1」及び「引用例発明2」という。)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができないとした。

第3  原告主張の取消事由の要点

審決の理由中、本願発明の要旨の認定、引用例1及び2の記載事項の認定、本願発明と引用例発明との一致点及び相違点の認定、相違点<1>についての判断は、いずれも認める。

審決は、本願発明の創作容易性の検討において、本願発明と引用例発明との相違点<2>についての判断を誤った(取消事由)ものであるから、違法として取り消されなければならない。

1  審決が、「ダイナミック型ランダムアクセスメモリの分野において、リフレッシュ時にメモリセルのデータを入出力しないこと、それ故データ入出力用スイッチを非導通状態に固定することは、例示するまでもなく周知」(審決書18頁14~18行)であると認定したことは認めるが、これを根拠として、「リフレッシュモードが設定された場合に、前記第1および第2のトランスファゲートを非導通状態に固定」(同20頁19行~21頁1行)することが、当業者が容易になし得たことであると判断したことは誤りである。

すなわち、本願の出願前におけるダイナミック型ランダムアクセスメモリにおいては、通常モード時に第1及び第2のトランスファゲートが導通状態であるのに対し、リフレッシュ時に非導通状態となるのは、データ入出力線対に直接つながるトランスファゲート(本願発明の第2のトランスファゲート)だけであって、隣接するメモリアレイブロックの対応するビット線対同士の接続を開閉する第1のトランスファゲートを、リフレッシュ時に非導通状態に固定することについては、従来、全く考えられていなかった。

このように通常モード時とリフレッシュモード時のいずれにおいても、第1のトランスファゲートを導通状態のままとし、単純に同じ制御を行う発想しか存在していなかった理由は、本願発明の採用したCMOSの回路とは異なり、当時使用されていた回路素子(いわゆるNMOSダイナミック回路)の性能上の制約から、動作モードの変更に応じて回路を切り換えるのに複雑な制御を要することが予想され、そのような制御の切換えは容易に実現できないということが当時の技術常識であったことと、消費電流の低減が、通常モードにおいて使用しないメモリアレイブロックを非動作とすることで十分であり、当時の技術常識ではそれ以上にリフレッシュモード時に消費電流を低減させる必要性がなかったこと、などの時代背景によるものである。このことは、技術文献によっては立証できないが、本願発明の発明者による宣誓供述書(甲第6号証)から明らかである。

2  また、審決が、引用例発明2に、非選択のメモリアレイブロックのセンスアンプの非活性化が開示されていると認定したことは認めるが、これを根拠にして、「リフレッシュモードが設定された場合に、前記第1および第2のトランスファゲートを非導通状態に固定」することが、当業者が容易になし得たことであると判断したことも誤りである。

すなわち、引用例発明2には、「読み出し/書き込み/リフレッシュ」と横並びで列挙されており、どのモードにおいても同様の動作(非選択のセンスアンプの不活性化)が行われることを開示しており、本願発明のように通常モードかリフレッシュモードかによって動作が異なることについては、何の示唆も存在していない。

しかも、引用例発明2の回路構成は、本願発明及び引用例発明1の対象となる回路構成と全く異なるものであるから、引用例発明1と引用例発明2を組み合わせることは不可能である。

具体的に示すと、引用例発明2において、添字a側及びb側の各サブアレイは、その第2図に示すように互いに独立した別個のメモリアレイであり、それぞれのサブアレイのビット線(コラム)が、トランスファゲートによって全体として1本のビット線として連結されるようなことはなく、左右に対称的に延びる2本のビット線で1つのコラムを構成するオープンビット線構造を有している。これに対し、本願発明のメモリセルアレイ#1及び#2は、本願明細書第4図に示すように、ビット線対(コラム)上で2つに分割されたものであり、また、隣接する双方のアレイの対応するビット線対同士の接続は、トランジスタQTO及びQTOからなるトランスファゲートで開閉されるように構成されており、平行して同一方向に延びる2本のビット線で1つのコラムを構成するいわゆる折返しビット線構造を有している。

いいかえると、引用例発明2の1つのサブアレイの構成が、本願発明のメモリセルアレイ#1及び#2の双方を含む構成に対応しているから、引用例発明2では、本願発明の2つのメモリセルアレイ#1及び#2の双方に対して、1つのセンスアンプ(SAa又はSAb)を含む構成となり、各メモリセルアレイごとにそれ自身のセンスアンプを有する本願発明の構成とは全く相容れないものとなっている。このような構成上の相違点から、引用例発明2を本願発明の基本構成に組み合わせることは不可能である。

以上のとおり、引用例発明1及び2のいずれにも、本願発明のリフレッシュ制御手段に関する教示や示唆は存在していないから、仮にこの両発明を組み合わせたとしても、本願発明のリフレッシュ制御手段に想到し得ないことは明白である。

第4  被告の反論の要点

審決の認定判断は正当であり、原告主張の取消事由は理由がない。

1  審決は、引用例発明1における「トランジスタQ5、Q6」(本願発明の「第1のトランスファゲート」に包摂される。)が、本願発明の「第1のトランスファゲート」と同様に、メモリセルのデータを入出力する機能を有すること、それ故「トランジスタQ5、Q6」もまた、データ入出力用スイッチということができると認定し、さらに、ダイナミック型ランダムアクセスメモリの分野において、リフレッシュ時にメモリセルのデータを入出力しないこと、それ故データ入出力用スイッチを非導通状態に固定することは、例示するまでもなく周知であると認定し、この認定を前提とした上で、リフレッシュ時に第1のトランスファゲートを非導通状態に固定するように制御することは、当業者が容易になし得たことであると結論づけたものである。

また、ダイナミック型ランダムアクセスメモリの分野の開発競争が激しいことを考慮すると、原告の主張するように、通常モード時とリフレッシュモード時のいずれにおいても、第1のトランスファゲートを導通状態のままとし、単純に同じ制御を行う発想しか存在していなかったとは考え難いし、消費電流の低減も、ダイナミック型ランダムアクセスメモリの分野に留まらない電子装置一般の恒常的要請であるから、原告の主張するように、低減させる必要性がなかったとは考え難い。

2  原告は、引用例発明2には、通常モードかリフレッシュモードかによって動作が異なることが示唆されていない旨主張するが、審決の進歩性の判断は、引用例発明2に通常モードかリフレッシュモードかによって動作が異なることが示唆されていることを前提とするものではないから、原告の主張は審決と直接関係がない。

また、原告は、本願発明と引用例発明2の「ビット線構造」が違い、基本構成が異なっているから、引用例発明1に引用例発明2を組み合わせることが不可能である旨主張するところ、「ビット線構造」(基本構成)が異なっているとなぜ組み合わせることが不可能であるのかその理由を述べていない。審決に両発明を組み合わせることは記載してないが、両発明は、ともに「ダイナミック型ランダムアクセスメモリ」に関し、しかもメモリセルアレイが複数のブロックに分けられ、各ブロックにセンスアンプが設けられているから、基本構成が同じであり、同じ技術分野に属するものである。そして、同じ技術分野に属する発明(技術思想)同士を組み合せることが広く行われていることは周知であるから、このことは当業者にとって容易なことといえる。

したがって、この点に関する審決の判断(審決書18頁14行~21頁14行)に、誤りはない。

第5  当裁判所の判断

1  審決の理由中、本願発明の要旨の認定、引用例1及び2の各記載事項の認定、本願発明と引用例発明1との一致点及び相違点の認定は、いずれも当事者間に争いがない。

また、引用例発明1において、メモリセルアレイが複数ブロックに分けられ、各ブロックにセンスアンプが設けられており、「メモリセルのデータをリフレッシュするリフレッシュモードも可能にするために、外部制御信号に従って、通常アクセスモードとリフレッシュモードを設定するモード設定手段を設けて本願発明のようにすることは、当業者が容易になし得たこと」(審決書18頁7~12行、相違点<1>についての判断)、「ダイナミック型ランダムアクセスメモリの分野において、リフレッシュ時にメモリセルのデータを入出力しないこと、それ故データ入出力用スイッチを非導通状態に固定することは、例示するまでもなく周知」(同18頁14~18行)であること、引用例発明1においても、通常モードで、使用しないメモリアレイブロックを非動作とするため、隣接するメモリアレイブロックの対応するビット線対同士の接続を開閉するトランスファゲートを非導通状態に固定すること(同14頁13行~15頁9行)、引用例発明2に、「読み出し/書き込み/リフレッシュ」のどのモードにおいても、非選択のメモリアレイブロックのセンスアンプの非活性化が開示されていること(同11頁20行~12頁15行)も、当事者間に争いがなく、本願の出願前におけるダイナミック型ランダムアクセスメモリにおいて、消費電流の低減を目的として、通常モードで使用しないメモリアレイブロックを非動作とすることが行われていたことは、原告の自認するところである。

そうすると、引用例発明1において、通常モードと異なるリフレッシュモードを設定し、リフレッシュ時にデータ入出力用スイッチを非導通状態に固定するとともに、消費電流の低減を目的として、同じダイナミック型ランダムアクセスメモリである引用例発明2に開示された、すべてのモードにおいて非選択のメモリアレイブロックのセンスアンプを非活性化するという構成を採用し、リフレッシュ時に使用しないメモリアレイブロックを非動作とするため、隣接するメモリアレイブロックの対応するビット線対同士の接続を開閉するトランスファゲートを非導通状態に固定することは、当業者が容易になし得たことであると認められる。

2  原告は、本願の出願前におけるダイナミック型ランダムアクセスメモリにおいては、リフレッシュ時に第1のトランスファゲートを非導通状態に固定することは全く考えられていなかったと主張し、その根拠として、本願発明の採用したCMOS回路とは異なり、当時使用されていた回路素子(いわゆるNMOSダイナミック回路)の性能上の制約から、動作モードの変更に応じて回路を切り換えるのに複雑な制御を要することが予想され、そのような制御の切換えは容易に実現できないということが当時の技術常識であったことと、消費電流の低減が、通常モードにおいて使用しないメモリアレイブロックを非動作とすることで十分であり、当時の技術常識ではそれ以上にリフレッシュモード時に消費電流を低減させる必要性がなかったことを指摘する。

この点について、引用例2(甲第4号証)には、「従来のダイナミツクRAMは・・・各サブアレイに付随するセンス・リフレツシユ・アンプリフアイアを全部活性化させる方式を採用しているいるため、消費電力が大きくなるという欠点があつた。そして、ダイナミツクRAMの消費電力の80%はセンス・リフレツシユ・アンプリフアイア部で消費されること・・・から、センス・リフレツシユ・アンプリフアイアの数が倍増することの悪影響は甚大である。本発明は以上の点に鑑み、このような欠点を除去すべくなされたもので、メモリセルの複数のサブアレイの一部のみを選択し、その選択されたサブアレイに付随するセンス・リフレツシユ・アンプリフアイアのみを活性化することにより、消費電力を大幅に低減することができ・・・るダイナミツクRAM・・・を提供することを目的としている。このような目的を達成するために、本発明は、メモリセルのマトリクス・アレイを複数のサブアレイに分割し、メモリセルの情報の読み出し、書き込み動作時に外部アドレス信号に応じて上記複数のサブアレイの一部を選択し、選択されたサブアレイ内のメモリセルのみをアクセスし、選択されたサブアレイに付随するセンス・リフレツシユ・アンプリフアイアのみを活性化させるようにした」(同号証4頁右上欄11行~右下欄2行)、「上記実施例においては、NMOS-FETのダイナミツクRAMについて説明したが、PMOS,CMOSの各FETのダイナミックRAMでもよく、また、パイポーラ・トランジスタのダイナミツクRAMにおいても同様の構成は可能であり、同様の効果を奏する。」(同号証5頁右上欄17行~左下欄2行)と記載されている。

これらの記載及び前示争いのない事実によれば、引用例発明2は、ダイナミックRAMにおいて消費電力を大幅に低減することを技術課題として、「読み出し/書き込み/リフレッシュ(再生)」のどのモードにおいても、選択されたサブアレイのセンス・リフレッシュ・アンプリファイアのみを活性化させ、選択されないサブアレイのセンス・リフレッシュ・アンプリファイアは非活性化とする構成が開示されているものと認められる。また、引用例発明2の出願(昭和55年12月11日)当時、ダイナミック型ランダムアクセスメモリに使用されていた回路素子が、NMOSダイナミック回路に限られていたわけではなく、他のPMOS、CMOSの各FETのダイナミックRAMも使用されていたものと認められる。

そうすると、本願出願前においても、ダイナミック型ランダムアクセスメモリの回路素子が、NMOSダイナミック回路に限られないことは当然であるから、当時使用されていた回路素子が、本願発明の採用したCMOS回路とは異なるNMOSダイナミック回路であり、その性能上の制約から、動作モードの変更に応じて回路を切り換えるのに複雑な制御を要することが当時の技術常識であったという原告の主張は、その前提において誤りがあるうえ、動作モードの切換え制御が複雑であるとする技術的根拠も全く示されていないから、これを採用する余地はない。

また、引用例発明2においては、前示のとおり、「読み出し/書き込み/リフレッシュ(再生)」のどのモードにおいても、消費電力を大幅に低減することが技術課題とされていたものと認められるから、消費電流の低減が通常モードにおいて使用しないメモリアレイブロックを非動作とすることで十分であったとする原告の上記主張が、誤りであることは明らかである。しかも、上記主張を裏付けるに足る客観的技術文献を証拠として提出できないことは、原告も自認するところであるから、上記認定に反する本願発明の発明者による宣誓供述書(甲第6号証)は、到底措信することができない。

したがって、本願出願前におけるダイナミック型ランダムアクセスメモリにおいて、リフレッシュ時に第1のトランスファゲートを非導通状態に固定することは考えられていなかったとする原告の主張は、根拠がなく採用することができない。

また、原告は、引用例発明2に、本願発明のように通常モードかリフレッシュモードかによって動作が異なることについての示唆が存在していないと主張する。

しかし、前示のとおり、複数のアレイブロックを有する引用例発明1において、通常モードとリフレッシュモードとを設定するモード設定手段を設けて本願発明のようにすることは、当業者が容易になし得たことであり、引用例発明2には、そのいずれのモードにおいても、選択されたサブアレイのセンス・リフレッシュ・アンプリファイアのみを活性化させ、選択されないサブアレイのセンス・リフレッシュ・アンプリファイアは非活性化とする構成が開示されている。そして、審決は、このことを前提として、当業者が両発明から本願発明を容易に想到し得ると判断したものであり、引用例発明2に通常モードかリフレッシュモードかによって異なる動作が開示されている旨を認定したものではないから、原告の上記主張は失当というほかない。

さらに、原告は、引用例発明2の回路構成は、本願発明及び引用例発明1の対象となる回路構成と全く異なるものであるから、引用例発明1と引用例発明2を組み合わせることは不可能であると主張する。

しかし、原告は、その理由として、本願発明と引用例発明2の回路構成が異なることのみを主張するだけであり、引用例発明1と引用例発明2との組合せが困難である理由を示さないから、この点において明らかに失当な主張というべきである。しかも、引用例発明2は、本願発明及び引用例発明1と相違するオープンビット線構造ではあるが、前示のとおり、通常モードとリフレッシュモードのいずれにおいても、選択されたサブアレイのセンス・リフレッシュ・アンプリファイアのみを活性化させ、選択されないサブアレイのセンス・リフレッシュ・アンプリファイアは非活性化とする構成が開示されており、この構成を複数のアレイブロックを有する引用例発明1に適用し、リフレッシュモード時に選択されないメモリアレイブロックのセンスアンプを非活性化とすることを困難とするような技術的根拠は見出せないから、この点においても原告の主張を採用することはできない。

したがって、相違点<2>に関する審決の判断(審決書18頁14行~21頁14行)に誤りはない。

3  以上のとおり、原告主張の取消事由は理由がなく、その他審決に取り消すべき瑕疵はない。

よって、原告の本訴請求は理由がないから、これを棄却することとし、訴訟費用の負担につき、行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 田中康久 裁判官 石原直樹 裁判官 清水節)

平成7年審判第9309号

審決

東京都千代田区丸の内2丁目2番3号

請求人 三菱電機株式会社

大阪府大阪市北区南森町2丁目1番29号 住友銀行南森町ビル 深見特許事務所

代理人弁理士 深見久郎

大阪府大阪市北区南森町2丁目1番29号 住友銀行南森町ビル 深見特許事務所

代理人弁理士 森田俊雄

大阪府大阪市北区天神橋2丁目3番9号 八千代第一ビル 深見特許事務所

代理人弁理士 吉田博由

大阪府大阪市北区天神橋2丁目3番9号 八千代第一ビル 深見特許事務所

代理人弁理士 伊藤英彦

昭和61年特許願第145800号「ダイナミック型ランダムアクセスメモリ」拒絶査定に対する審判事件(昭和63年1月7日出願公開、特開昭63-2198)について、次のとおり審決する。

結論

本件審判の請求は、成り立たない。

理由

Ⅰ 本願発明

本件審判請求に係る特許願は昭和61年6月20日になされており、明細書及び図面の記載からみて、

その請求項第1項記載に係る発明(以下、「本願発明」という)の目的、効果は、「消費電流を低減すること」であり、

本願発明の構成は、

「通常アクセスモードとリフレッシュモードを有するダイナミック型ランダムアクセスメモリであって、

それぞれが、行列状に配列された複数のメモリセルと、各行に対応して設けられたワード線と、各列に対応して設けられたビット線対と、各ビット線対に対応して設けられたセンスアンプとを含む第1および第2のメモリアレイブロック、

前記第1および第2のメモリアレイブロックに共通に設けられ、前記第1および第2のメモリアレイブロックと外部との間でデータの入出力を行なうためのデータ入出力線対、

各列に対応して設けちれ、前記第1のメモリアレイブロックの対応の列のビット線対の一端と前記第2のメモリアレイブロックの対応の列のビット線対の一端との間に接続された第1のトランスファゲート、

各列に対応して設けられ、前記第2のメモリアレイブロックの対応の列のビット線対の他端と前記データ入出力線対との間に接続された第2のトランスファゲート、

アドレス信号に従って前記第1および第2のメモリアレイブロックのうちのいずれかのメモリセルを選択する選択手段、

外部制御信号に従って、前記通常アクセスモードまたは前記リフレッシュモードを設定するモード設定手段、

前記モード設定手段によって前記通常アクセスモードが設定された場合に、前記選択手段によって前記第1のメモリアレイブロックのメモリセルが選択されたことに応じて、前記第1および第2のメモリアレイブロックのセンスアンプを活性化させるとともに各列の第1のトランスファゲートおよび前記選択されたメモリセルが属する列の第2のトランスファゲートのみを導通させ、前記選択手段によって前記第2のメモリアレイブロックのメモリセルが選択されたことに応じて、前記第2のメモリアレイブロックのセンスアンプを活性化させるとともに前記第1のメモリアレイブロックのセンスアンプを非活性化させ、前記選択されたメモリセルが属する列の第2のトランスファゲートのみを導通させて、前記選択されたメモリセルのデータを前記データ入出力線対に与える読出制御手段、および

前記モード設定手段によって前記リフレッシュモードが設定された場合に、前記第1および第2のトランスファゲートを非導通状態に固定し、前記選択手段によって前記第1のメモリアレイブロックのメモリセルが選択されたことに応じて前記第1のメモリアレイブロックのセンスアンプを活性化させるとともに前記第2のメモリアレイブロックのセンスアンプを非活性化させ、前記選択手段によって前記第2のメモリアレイブロックのメモリセルが選択されたことに応じて前記第2のメモリアレイブロックのセンスアンプを活性化させるとともに前記第1のメモリセルアレイブロックのセンスアンプを非活性化させて、前記選択されたメモリセルのデータのリフレッシュを行なうリフレッシュ制御手段を備える、ダイナミック型ランダムアクセスメモリ」

である。(特許請求の範囲の欄或いは[問題点を解決するための手段]の欄の記載参照)

なお、上記「第1および第2のトランスファゲート」がメモリセルのデータを入出力するために設けられていることは明らかである。

Ⅱ 刊行物記載の発明

1 当審が平成8年9月25日付けで通知した拒絶の理由において提示した、特開昭59-101093号公報(昭和59年6月11日特許庁発行、以下「刊行物1」という。第3図を参照)には、

通常アクセスモードを有する「ダイナミックランダムアクセスメモリ」であって、

それぞれが、行列状に配列された複数の「メモリセルMC2、MC1」と、各行に対応して設けられた「ワード線WL2、WL1」と、各列に対応して設けられた「ビット線対BL2とBL2、BL1とBL1」と、各「ビット線対BL2とBL2、BL1とBL1」に対応して設けられた「センスアンプSA2、SA1」とを含む第1および第2のメモリアレイブロック、

前記第1および第2のメモリアレイブロックに共通に設けられ、前記第1および第2のメモリアレイブロックと外部との間でデータの入出力を行なうための「データバスDB、DB」、

各列に対応して設けられ、前記第1のメモリアレイブロックの対応の列の「ビット線対BL2とBL2」の一端と前記第2のメモリアレイブロックの対応の列の「ビット線対BL1とBL1」の一端との間に接続された「トランジスタQ5、Q6」、

各列に対応して設けられ、前記第2のメモリアレイブロックの対応の列の「ビット線対BL1とBL1」の他端と前記「データバスDB、DB」との間に接続された「トランジスタQ1、Q2」、

アドレス信号に従って前記第1および第2のメモリアレイブロックのうちのいずれかの「メモリセルMC2、MC1」を選択する選択手段、

前記通常アクセスモードの場合に、前記選択手段によって前記第1のメモリアレイブロックの「メモリセルMC2」が選択されたことに応じて、前記第1および第2のメモリアレイブロックの「センスアンプSA2、SA1」を活性化させるとともに各列の「トランジスタQ5、Q6」および前記選択された「メモリセルMC2」が属する列の「トランジスタQ1、Q2」のみを導通させ、前記選択手段によって前記第2のメモリアレイブロックの「メモリセルMC1」が選択されたことに応じて、前記第2のメモリアレイブロックの「センスアンプSA1」を活性化させるとともに前記第1のメモリアレイブロックの「センスアンプSA2」を非活性化させ、前記選択された「メモリセルMC1」が属する列の「トランジスタQ1、Q2」のみを導通させて、前記選択された「メモリセルMC2、MC1」のデータを前記「データバスDB、DB」に与える読出制御手段、を備える、「ダイナミックランダムアクセスメモリ」、

であって、

消費電流を低減することができる、

という発明が記載されている。(特に、第4頁左下欄第9行~第13行の記載参照)

ここで、上記発明を本願発明の用語で表現する。

上記発明の「ダイナミックランダムアクセスメモリ」、「メモリセルMC2、MC1」、「ワード線WL2、WL1」、「ビット線対BL2とBL2、BL1とBL1」、「センスアンプSA2、SA1」、「データバスDB、DB」は、夫々本願発明の「ダイナミック型ランダムアクセスメモリ」、「メモリセル」、「ワード線」、「ビット線対」、「センスアンプ」、「データ入出力線対」、と同義であり、

上記発明の「トランジスタQ5、Q6」、「トランジスタQ1、Q2」は、夫々本願発明の「第1のトランスファゲート」、「第2のトランスファゲート」に包摂されることを考慮すると、

刊行物1には、

通常アクセスモードを有するダイナミック型ランダムアクセスメモリであって、

それぞれが、行列状に配列された複数のメモリセルと、各行に対応して設けられたワード線と、各列に対応して設けられたビット線対と、各ビット線対に対応して設けられたセンスアンプとを含む第1および第2のメモリアレイブロック、

前記第1および第2のメモリアレイブロックに共通に設けられ、前記第1および第2のメモリアレイブロックと外部との間でデータの入出力を行なうためのデータ入出力線対、

各列に対応して設けられ、前記第1のメモリアレイブロックの対応の列のビット線対の一端と前記第2のメモリアレイブロックの対応の列のビット線対の一端との間に接続された第1のトランスファゲート、

各列に対応して設けられ、前記第2のメモリアレイブロックの対応の列のビット線対の他端と前記データ入出力線対との間に接続された第2のトランスファゲート、

アドレス信号に従って前記第1および第2のメモリアレイブロックのうちのいずれかのメモリセルを選択する選択手段、

前記通常アクセスモードの場合に、前記選択手段によって前記第1のメモリアレイブロックのメモリセルが選択されたことに応じて、前記第1および第2のメモリアレイブロックのセンスアンプを活性化させるとともに各列の第1のトランスファゲートおよび前記選択されたメモリセルが属する列の第2のトランスファゲートのみを導通させ、前記選択手段によって前記第2のメモリアレイブロックのメモリセルが選択されたことに応じて、前記第2のメモリアレイブロックのセンスアンプを活性化させるとともに前記第1のメモリアレイブロックのセンスアンプを非活性化させ、前記選択されたメモリセルが属する列の第2のトランスファゲートのみを導通させて、前記選択されたメモリセルのデータを前記データ入出力線対に与える読出制御手段、を備える、ダイナミック型ランダムアクセスメモリ、

であって、

消費電流を低減することができる、

という発明(以下、「第1の発明」という)が記載されている。

2 同様に、当審で平成8年9月25日付けで通知した拒絶の理由において提示した、特開昭57-98188号公報(昭和57年6月18日特許庁発行、以下「刊行物2」という。第5図を参照)には、

「Xアドレス信号Xn」に従って「添え字a側のサブアレイ」と「添え字b側のサブアレイ」のいずれかの「メモリセルMCL」を選択する「センス・リフレッシュ・アンプリファイヤ・デコーダSAD」と、

前記「センス・リフレッシュ・アンプリファイヤ・デコーダSAD」によって前記「添え字a側のサブアレイ」の「メモリセルMCL」が選択されたことに応じて前記「添え字a側のサブアレイ」の「センス・リフレッシュ・アンプリファイヤSAa」を活性化させるとともに前記「添え字b側のサブアレイ」の「センス・リフレッシュ・アンプリファイヤSAb」を非活性化させ、前記「センス・リフレッシュ・アンプリファイヤ・デコーダSAD」によって前記「添え字b側のサブアレイ」の「メモリセルMCL」が選択されたことに応じて前記「添え字b側のサブアレイ」の「センス・リフレッシュ・アンプリファイヤSAb」を活性化させるとともに前記「添え字a側のサブアレイ」の「センス・リフレッシュ・アンプリファイヤSAa」を非活性化させて、前記選択された「メモリセルMCL」のデータの「読み出し/書き込み/リフレッシュ(再生)」を行なう「読み出し/書き込み/リフレッシュ(再生)」制御手段を設けた「ダイナミックRAM」

であって、

「消費電力を低減することができる」、

という発明(以下、「第2の発明」という)が記載されている。

Ⅲ 本願発明の創作可能性

本願発明(以下、「前者」という)と刊行物1に記載された第1の発明(以下、「後者」という)とを比較すると、

両者が、

消費電流を低減すること、を目的、効果とし、

通常アクセスモードを有するダイナミック型ランダムアクセスメモリであって、

それぞれが、行列状に配列された複数のメモリセルと、各行に対応して設けられたワード線と、各列に対応して設けられたビット線対と、各ビット線対に対応して設けられたセンスアンプとを含む第1および第2のメモリアレイブロック、

前記第1および第2のメモリアレイブロックに共通に設けられ、前記第1および第2のメモリアレイブロックと外部との間でデータの入出力を行なうためのデータ入出力線対、

各列に対応して設けられ、前記第1のメモリアレイブロックの対応の列のビット線対の一端と前記第2のメモリアレイブロックの対応の列のビット線対の一端との間に接続された第1のトランスファゲート、

各列に対応して設けられ、前記第2のメモリアレイブロックの対応の列のビット線対の他端と前記データ入出力線対との間に接続された第2のトランスファゲート、

アドレス信号に従って前記第1および第2のメモリアレイブロックのうちのいずれかのメモリセルを選択する選択手段、

前記通常アクセスモードの場合に、前記選択手段によって前記第1のメモリアレイブロックのメモリセルが選択されたことに応じて、前記第1および第2のメモリアレイブロックのセンスアンプを活性化させるとともに各列の第1のトランスファゲートおよび前記選択されたメモリセルが属する列の第2のトランスファゲートのみを導通させ、前記選択手段によって前記第2のメモリアレイブロックのメモリセルが選択されたことに応じて、前記第2のメモリアレイブロックのセンスアンプを活性化させるとともに前記第1のメモリアレイブロックのセンスアンプを非活性化させ、前記選択されたメモリセルが属する列の第2のトランスファゲートのみを導通させて、前記選択されたメモリセルのデータを前記データ入出力線対に与える読出制御手段、を備える、ダイナミック型ランダムアクセスメモリ、

を構成要件としそいる点で一致しており、

<1> 前者が、メモリセルのデータをリフレッシュするリフレッシュモードも可能にするために、外部制御信号に従って、通常アクセスモードとリフレッシュモードを設定するモード設定手段を設けているのに対して、後者がそのようなモード設定手段を設けているか否か明示していない点、

<2> 消費電流を低減するために、前者が、前記リフレッシュモードが設定された場合に、前記第1および第2のトランスファゲートを非導通状態に固定し、前記選択手段によって前記第1のメモリアレイブロックのメモリセルが選択されたことに応じて前記第1のメモリアレイブロックのセンスアンプを活性化させるとともに前記第2のメモリアレイブロックのセンスアンプを非活性化させ、前記選択手段によって前記第2のメモリアレイブロックのメモリセルが選択されたことに応じて前記第2のメモリアレイブロックのセンスアンプを活性化させるとともに前記第1のメモリセルアレイブロックのセンスアンプを非活性化させて、前記選択されたメモリセルのデータのリフレッシュを行なうリフレッシュ制御手段を設けているのに対して、後者がそのようなリフレッシュ制御手段を設けていない点、

で相違している。

従って、本願発明は、刊行物1に記載された第1の発明において、<1>′メモリセルのデータをリフレッシュするリフレッシュモードも可能にするために、外部制御信号に従って、通常アクセスモードとリフレッシュモードを設定するモード設定手段を設け、<2>′更に消費電流を低減するために、前記リフレッシュモードが設定された場合に、前記第1および第2のトランスファゲートを非導通状態に固定し、前記選択手段によって前記第1のメモリアレイブロックのメモリセルが選択されたことに応じて前記第1のメモリアレイブロックのセンスアンプを活性化させるとともに前記第2のメモリアレイブロックのセンスアンプを非活性化させ、前記選択手段によって前記第2のメモリアレイブロックのメモリセルが選択されたことに応じて前記第2のメモリアレイブロックのセンスアンプを活性化させるとともに前記第1のメモリセルアレイブロックのセンスアンプを非活性化させて、前記選択されたメモリセルのデータのリフレッシュを行なうリフレッシュ制御手段を設けることにより、発明をすることができたものである。

Ⅳ 本願発明の創作容易性

上記<1>′、<2>′について検討する。

<1>′について、

ダイナミック型ランダムアクセスメモリの分野において、メモリセルのデータをリフレッシュすること、これをリフレッシュモードということ、リフレッシュモードも可能にするために、外部制御信号に従って、通常アクセスモードとリフレッシュモードを設定するモード設定手段を設けることは、何れも例示するまでもなく周知であるので、

刊行物1に記載された第1の発明において、メモリセルのデータをリフレッシュするリフレッシュモードも可能にするために、外部制御信号に従って、通常アクセスモードとリフレッシュモードを設定するモード設定手段を設けて本願発明のようにすることは、当業者が容易になし得たことである。

<2>′について、

ダイナミック型ランダムアクセスメモリの分野において、リフレッシュ時にメモリセルのデータを入出力しないこと、それ故データ入出力用スイッチを非導通状態に固定することは、例示するまでもなく周知であり、

「Xアドレス信号Xn」(本願発明の「アドレス信号」と同義である)に従って「添え字a側のサブアレイ」(本願発明の「第1のメモリアレイブロック」と等価である)と「添え字b側のサブアレイ」(本願発明の「第2のメモリアレイブロック」と等価である)のいずれかの「メモリセルMCL」(本願発明の「メモリセル」と同義である)を選択する「センス・リフレッシュ・アンプリファイヤ・デコーダSAD」(本願発明の「選択手段」と等価である)と、

前記「センス・リフレッシュ・アンプリファイヤ・デコーダSAD」によって前記「添え字a側のサブアレイ」の「メモリセルMCL」が選択されたことに応じて前記「添え字a側のサブアレイ」の「センス・リフレッシュ・アンプリファイヤSAa」(本願発明の「センスアンプ」と等価である)を活性化させるとともに前記「添え字b側のサブアレイ」の「センス・リフレッシュ・アンプリファイヤSAb」(本願発明の「センスアンプ」と等価である)を非活性化させ、前記「センス・リフレッシュ・アンプリファイヤ・デコーダSAD」によって前記「添え字b側のサブアレイ」の「メモリセルMCL」が選択されたことに応じて前記「添え字b側のサブアレイ」の「センス・リフレッシュ・アンプリファイヤSAb」を活性化させるとともに前記「添え字a側のサブアレイ」の「センス・リフレッシュ・アンプリファイヤSAa」を非活性化させて、前記選択された「メモリセルMCL」のデータの「読み出し/書き込み/リフレッシュ(再生)」を行なう「読み出し/書き込み/リフレッシュ(再生)」制御手段(本願発明の「リフレッシュ制御手段」を包摂する)を設けた「ダイナミックRAM」(本願発明の「ダイナミック型ランダムアクセスメモリ」と同義である)であって、「消費電力を低減することができる」、という発明は、刊行物2に第2の発明として記載されているので、

刊行物1に記載された第1の発明において、

<1>′のように、モード設定手段を設け、更に消費電流を低減するために、前記モード設定手段によって前記リフレッシュモードが設定された場合に、前記第1および第2のトランスファゲートを非導通状態に固定し、前記選択手段によって前記第1のメモリアレイブロックのメモリセルが選択されたことに応じて前記第1のメモリアレイブロックのセンスアンプを活性化させるとともに前記第2のメモリアレイブロックのセンスアンプを非活性化させ、前記選択手段によって前記第2のメモリアレイブロックのメモリセルが選択されたことに応じて前記第2のメモリアレイブロックのセンスアンプを活性化させるとともに前記第1のメモリセルアレイブロックのセンスアンプを非活性化させて、前記選択されたメモリセルのデータのリフレッシュを行なうリフレッシュ制御手段を設けて本願発明のようにすることは、当業者が容易になし得たことである。

Ⅴ 結び

以上Ⅰ~Ⅳ項を総合して判断すると、本願発明は、刊行物1に記載された第1の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、その請求項第2項記載に係る発明について審理するまでもなく、特許法第29条第2項の規定により、本件審判請求人である本願出願人は本願発明について特許を受けることができない。

よって、結論の通り審決する。

平成9年9月25日

審判長 特許庁審判官 (略)

特許庁審判官 (略)

特許庁審判官 (略)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例